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日本キャリア工業の価値観とは?
台上に盛られたミンチの山に人が群がってパック詰め作業をする、あるいは、スライサーから切り出される肉片を、熟練作業者が一枚一枚キャッチしては並べてゆく。 こうした人海戦術と手仕事に頼っていた工程を、今や衛生管理された大型の工場で、ミンスパッカーラインやAtoZを駆使しながら、外国人を含むパートさんたちが担っている。 均一に整った低コスト商品を、日々大量生産できるようになったのだ。 更に言えば、これらの機械は、工場全体の仕組みとともに東アジア地域に広がろうとしている。50年前にこれを予想できた人は一人もいなかっただろう。私たちもそうだった。 それではなぜ、このような変化に私たちは貢献できたのか? 私たちは、業界では後発のメーカーだ。先人の背中に追いつき、追い越すためには、顧客に寄り添い、あたらしいアイディアを産み続けることが必要だった。 注意深い観察によるニーズの掘り起こし、独創的な解決法の発案と試行、失敗にもひるまない執念。 しかも、造るからには美しくというこだわり。 他社にできないソリューションを提供する。そこに徹底した価値の源泉を求めたことが、現在の日本キャリア工業を支えている。 これまでの私たちの成長を、紐解いてみよう。
業界を変えた初手「値段は10倍。持ちは100倍」
私たちは、自らの行動様式やその背景にある想いを、時代を超えて共有している。それを私たちは「日本キャリアイズム」と呼び、その始まりが【永久プナ】だ。 従来のプレートやナイフは、鉄製のため2日も使えば切れなくなり、頻繁に研磨をする必要があった。 「何とか切れ味を保てないか...」と考えていたある日、「電気カミソリ」からヒントを得る。 電気カミソリは、何度も使っているのに切れ味が落ちない!この仕組みを追求、実現しようと製作に着手。材料として、当時調達が難しかった焼き入れ可能なステンレスをアメリカから輸入。 更に、当時は旋盤も焼き入れ用の炉も研磨機もなかったため、中古の炉の購入、他の道具の代用などの工夫を重ねた。 そして「値段は10倍。持ちは100倍」と謳う永久プナが遂に完成。 半信半疑のお客様には集金は後回しにして、まずは使って頂くことに。価格以上の価値を実感したお客様から好評を得て大ヒット商品になった。
10年間、食肉業界の発展を考えた、スライサー開発
昨今の社会問題である人手不足の解消や、効率化による生産コストの低減を目指し、PC(※1)化が進む食品スーパーマーケット業界。 そんな業界で、今や欠かせない存在となった、日本キャリア工業の主力製品たる『ベンディングスライサーAtoZ』。 スーパーからは「解凍時のドリップ(肉汁)の発生を避けたい」「温度管理の負担を減らしたい」などの理由から、0度~プラス温度帯の肉のスライス・折りたたみを望む声が聞こえてきた。 これが、顧客のニーズから始まる、新製品開発の種になる。 スライサーのメーカーとしては後発となる当社だが、『生肉が切れるスライサー』『折りたたみ装置を最初から備えたスライサー』は、食肉業界の現場を変える力を持っているとの確信があった。 度重なる持ち込みテストには、お客様が協力してくださった。 とある持ち込みテスト先の生産現場。そこでは、約10人の職人が、丸刃スライサーで黙々と作業を行なっていた。 作業を続ける職人たちの傍らでスライサーを稼働させるも、なぜか不調で、職人の作業スピードに及ばない。 その様子を見ていた職人たちに笑われた。 ある技術者が機械の陰で調整をしていたのだが、いつになっても終わらない。 「まだか?」と覗いてみると、肩を震わせ悔し涙を拭っていた。
あきらめない。失敗から生まれる独創性と、美しさへのこだわり
少しずつ、それでも確実に、スライサーを完成させていく開発チーム。 最後に大きな壁が立ちはだかる。薄いスライス肉を取り扱う上では避けて通れない、「付着との闘い」だった。 切り出したスライス肉を折りたたんで整列させるため、スライス肉を上から押さえる必要があるのだが、これが難しい。 スライスされた生肉は、例えるならば「濡れたティッシュ」。触れたものにすぐにくっついてしまい、しかも些細なことでちぎれてしまう。 「付着との闘い」を続けていた彼らを救ったのは、あるひらめきだった。 「『板』でも、『棒』でも、スライス肉はくっついてきた。しかし、『線』だったら?」 「付着との闘い」を経て、更なる改良、調整を重ね続けた仲野ら開発チームは、ついに納得のいく性能にたどり着く。 「切る」「たたむ」「並べる」、即ち、AからZまでを完璧にこなせる唯一無二のマシン。 「このスライサーなら、きっとお客様の役に立てる」。 時は2002(H14)年。完成式典から約4年、開発開始からは約10年の歳月が経っていた。 いくつもの苦難を乗り越え、ついに、『ベンディングスライサーAtoZ』が完成した。
日本キャリア工業らしさを支える従業員と顧客の関係
注意深い観察力。ニーズの掘り起こし。独創的な発案と、失敗にもひるまない執念。そして、造るからには美しく、というこだわり。 日本キャリア工業が、長年、愚直に繰り返してきたものが、どのような評価を生み出しているのか。 50年の歴史から見える、いくつかの数字で、その実績と評価を見てみよう。 1)顧客の8割以上が「次回も日本キャリア工業製品を検討したい」と回答 毎年おこなっている顧客向けアンケートでは、製品の満足度、生産性の満足度から始まり、営業担当や納品時の対応などを5段階で評価。8割以上の顧客から「次回購入時にも、日本キャリア工業製品を検討したい」と回答を得ている。 2)10年間で、売上が2倍に 2012年(第37期)の売上額が、約13億円。そこからの10年間で、売上は倍増し、2021年(第46期)では28億円を超えた。たゆまぬ努力と、顧客からの評価が、売上というもっともわかりやすい形で見て取れる。 3)10年間で、従業員数も2倍に 売上の倍増と比例し、その顧客提供価値を支える従業員の数も、60名から115名へと順調に倍増。研究開発、販売、メンテナンスのほか、総務経理、知財管理、DX推進といった、組織の厚みが増していることがわかる。 4)特許/実用新案の保有数が、国内82件、国外8件 特許/実用新案に加え、意匠および商標を含めると、国内が111件、国外が18件の保有数となる(2022年7月現在)。これに加え、出願中または審査係属中の特許/実用新案が42件、国外が3件となり、日々、あたらしいアイディアの発案と実用化が進められている。
AWARDS 受賞歴
2004年2月 | (財)機械振興協会 | ミクロダイサー | 第1回新機械振興賞 |
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2005年11月 | (社)発明協会 | ベンディングスライサー | 平成17年度四国地方発明表彰発明奨励賞 |
2006年3月 | 松山商工会議所 | ベンディングスライサー | 第1回松山ブランド 新製品コンテスト「NEXT ONE」松山商工会議所会頭賞 |
2007年8月 | 経済産業省他 | ベンディングスライサー | 第2回ものづくり日本大賞四国経済産業局長賞 |
2009年11月 | (社)発明協会 | ベンディングスライサー | 四国地方発明表彰中小企業庁長官奨励賞 |
2011年4月 | 文部科学省 | ベンディングスライサー | 『平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰』において「科学技術賞(技術部門)』を受賞 [業績名]【スライス肉折り畳み装置付き食肉スライサーの開発】 |
2013年9月 | 文部科学省 | ベンディングスライサー | 『食肉スライサーの刃面清掃方法と装置』が平成25年度四国地方発明表彰『発明奨励賞』を受賞 |
2016年4月 | 文部科学省 | ベンディングスライサー | 創業者(前社長・現取締役)仲野 整 が『黄綬褒章』を受章 |
2017年2月 | 四国地域イノベーション創出協議会 | マルハレスシリーズ | 第21回 四国産業技術大賞 産業振興貢献賞 |
2017年10月 | (社)発明協会 | めんぞう | 平成29年度四国地方発明表彰発明奨励賞 |
2017年12月 | (財)機械振興協会 | ミートパッカー「KP-150」 | 第15回新機械振興賞機械振興協会会長賞 |
2019年11月 | (社)発明協会 | 外ねじ式プレート | 令和元年度 四国地方発明表彰特許庁長官賞 |
2020年10月 | (社)発明協会 | 令和2年度 四国地方発明表彰 発明奨励賞受賞 | |
2020年10月 | 経済産業省 | 地域未来牽引企業 選定 | |
2022年6月 | (社)日本食品機会工業会 | AZ-342 | FOOMAアワード2022優秀賞 |